Eat in the Life. BTS photo vol.3
★CASAでのオフショット記事の続きです。おヒマ潰しにどうぞ。
*BTS photo = Behind The Scene photo(オフショットの意味)
>>前々回の様子
>>前回からの続き
---そもそもどうしてお米屋さんなの?
『なるほど~。そうやって聴くと、ごはんと味噌汁って、日本人にとっての食の原点で究極だね?そもそもどうしてお米屋さんを始めたの?』
「その質問をよくされるんですが、実はその友人の農家の応援をするようになってから、もう10年経つんです。」
『10年!?そんな前からやってるんだ~。』
「はい。三重県鈴鹿市にある、最高に美味しい自然栽培米 中山農園の中山篤志くんが、こだわりを持って本当に良いお米を作っています。最近は色々なブランド米や付加価値がついてむやみに高額なお米がありますけど、食べ比べてもらったら分かってもらえると思います。それくらい美味しさには自信を持っています。これは中山くんだけのことではないのですが、それだけ美味しいものを作れても、どうやって売っていけばいいのか?と悩まれている農家さんたちがたくさんいらっしゃいます。」
『農家さんたちも大変ってことなんだね?』
「そうですね。農業に関心を持つ人たちが少しずつ増えてきたと言っても、農家さんたちの現状には解決には難しい問題がたくさんあるように受け止めています。国の方針や人の嗜好はその影響の最もだと知りました。作って売る側は、求める人たちの声に従わなければやっていけないというところにジレンマを抱えます。僕自身、「食べ物」が典型的な買い手市場になっていることに疑問を持たずにいました。これらは全て、中山くんを通じて知っていった今の世の中の裏側のようなものです。」
『消費者が優位ってこと?』
「そうです。例えば、スーパーで土のついた野菜は選ばれない、有機・限定という言葉の付加価値、被災地域の野菜の売れ行きなどの事実が物語っています。中身じゃなく、パッケージが重要視されていること。本来食べるものについては、作り手である生産者と食べる側である消費者が対等の関係性を維持することで、心通ったコミュニティが作られてきたと思うんです。「食べる」という行為は、私たちの命をつなぐものですし、さらに食卓は、心を育み身体を作ります。常に食べ物の向こう側に誰かの顔が存在していて、色んな人たちとの関わりの中で自分の人生が作られていくと言っても全然大げさじゃないと思っています。大切なのは想像力だと思うんです。僕自身、お米を扱うようになっていつも思い出すのは、子どもの頃、ばあちゃん家で遊んだ記憶です。実は僕は米屋の孫なんですよ。」
『え~!?米屋の孫だったの?』
「はい。なので、糠まみれになって遊んでいた小さいころから、お米を粗末にするなと散々言われてきました。美味しいお米もたくさん食べてきました。おかげでお米にうるさくなっちゃいましたが、今となってはとても身近で当たり前で特別なものだったんだと気づかされました。まさか自分が米屋を始めるとは思いもしませんでしたが、米屋は成り行きというか、自然な流れだったのかもしれません。」
『そうなんだね。お米に対する想いも強いんだね。』
「ん~、正直言って、そこはどうだか自分でもハッキリはしないんですよ。もちろんお米が大好きですし、お米が食べられないというのは想像もできないんですが、それも含めて、お米を通じて知っておいた方がいいことがたくさんあるんだな~というのが実感なので、ここでは「食」を通じて人と関わっていけたらなって思っています。」
『お米を通じて知っておいた方がいいことって?』
「そうですね、端的に言えば「伝統」「文化」「国・社会」「心と身体」「生き方」ですかね。」
---なんだかスゴイ話になってきた?
『なんだかすごい話になりそうだけど・・・。そんなに大きな話になるんだ?』
「自分も学ぶところが多いのですが、お米はそれくらい日本人の生活の中心に溶け込んでいるものなんだとあらためて考えさせられたんです。例えば、伝統や文化も同じように私たちの生活に溶け込んでいますが、意識・関心を持てばその価値に気づき大切にしようとします。でも知る機会を得られなければ、それらは価値と一緒にゴミ箱行きです。他に生活を面白くする便利でお得なものがたくさんありますから。」
『物事に関心を持つことは大切だよね。』
「言葉で言うほど簡単なものじゃないんですが、それでもやはり物事に関心を向けることは大事だと思います。物を見るとき、選択するときの基準が「損得」で選ぶ人が多い世の中ですから、本当に価値あるものが損得で切り捨てられるのを見ると切なくなります。」
『本当に価値のあるものか・・・』
「はい。それっぽいもので満足する人たちがたくさんいる世の中と、本物を知っている人たちが増えていく世の中だったら、僕は後者に興味が惹かれます。何となくの雰囲気で出されるそれっぽいオムライスより、想いを込めて握ってくれたおむすびに価値を感じるんです。その両者の差は「心」だと思うんです。」
『心を添えるって大事だよね。』
「さらちゃんのおかげでいただいた佐藤初女さんとのご縁は、多くのことを考えるきっかけになりました。シンプルなものにほどしっかりと心を添えられる人間になりたいなって。なので、先ほど言っていた「知っておいた方がいいこと」はその象徴というか、先人たちが志をもってつないでくれた形ある心だと思うんです。話していて気付いたのですが、僕は、人の心に価値があると感じているんだと気づきました。」
『CASAのおむすびは最高だよね。まさに心だよね。』
「ありがとうございます!そう言ってもらえてとっても嬉しいです。これも全て中山くんが作ってくれたお米があってのことなんですよ。たまに観察するように食べて下さる方がいらっしゃるのですが、うなずきながら食べてくださる姿を見てて心があったかくなるんですよね。」
『そういうお客さんが増えていくだろうね~。今一番の理想は?』
「そうなったら嬉しいです。今一番の理想は、1人でも多くの方にCASAを知ってもらいたいですし、興味を持っていただけた方と語り合いたいです。もちろん、中山農園のお米を買ってもらえたら最高です!あと、もし身近に農業や漁業、林業に携わっている人がいたらぜひ自分から関心を持って歩み寄ってもらえたらなって思います。一人一人の意識の在り方と小さな行動が、世界を変えると信じていますから。」
『CASAをたくさんの人に知ってもらえるようにオレも応援してるよ!』
「本当にありがとうございます!またまじないをかけたおむすびを食べに来てください!笑」
(語り:皿井啓之、上條嘉久)
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